胎内記憶

胎内記憶という本がおもしろかった。赤ちゃんは6歳くらいまで、自分がお腹にいたときの記憶や、生まれたときの記憶を持っている、というもの。正確に言うと、自分からそれらの記憶を話してくれるのは1%くらいで、1/3くらいは訊いたら話してくれる、というもの(2/3の子どもは忘れてしまっている)。

自分が精子卵子だったころの記憶まで持っていたりする子どももいるそうで、驚きというほかないのだが、受精の仕組みなんて知るはずがない子どもたちが詳細に「自分はイトミミズになる前はブツブツで、イトミミズのときはレースをしていて一番になっちゃった感じ。他の仲間はみんな死んじゃった」とか語るのはありえないと思うし、やっぱり本当なんじゃないかと思う。

あと、この本サブタイトルでかなり損をしていると思う。自分もサブタイトル見て最初あやしい本かと思いかけたが、実際は大規模に調査して研究会・学会・国際会議で発表しているような内容である(それらの学会があやしいものであるかどうか判断する基準は自分にはないが)。まあ、真偽はおいておいても話として夢があっておもしろい。特に第3章の「出産前後の記憶の具体例」だけでも立ち読みの価値はあると思うので、本屋で目にしたら手にとってみては。いくつか例を出すと

「おなかのなかに、なにかあったでしょ。それが大きくなると、ぼくが生きていけなくなっちゃうやつ。大きくなってつぶされたらどうしようって思って、こわかったの。ママ、ぶじに生んでくれてありがとう」(6歳、男子。母親は妊娠初期に子宮筋腫が見つかり、不安に思っていた)

(p.107)とか

「ママが『いたい』って言ったから、かわいそうだったから、動かなかったの」(4歳、男子。母親は妊娠中、激しい胎動があったとき、思わず「痛い! あまり動かないで」と言ったことがあり、それ以来、胎動は減っていた)

(p.113)とか

「ぼくね、雲の上にいてね、あー、あそこの家がとってもいいな、行きたいなって思ってたんだよ。だからぼく、ここに来たんだよ。来てよかった!」(3歳、男子)

「パパとママを選んだんだよ。ずっと待ってたんだよ」(2歳、男子。母親は結婚してから5年間子どもをつくらなかった)

(p.135)など。

子どもがいる人、これから作る人、赤ちゃんがどういうふうにお腹の中で思っているのか知るにもお勧め。(「YES なら1回、NO なら2回お腹蹴ってね」とか伝えたら、赤ちゃんに生まれてくる日を訊いたりできるらしい)