棒引き表記

5号館のつぶやき経由で知ったのだが、マイクロソフトが棒引き長音表記に転換したそうだ。工学系では「コンピュータ」とか「ドライバ」とか書いていたのだが、それを「コンピューター」「ドライバー」と伸ばすようにする、ということだ。これまで現代仮名遣いでは国語審議会的にはカタカナ語の棒引きに関しては「原則伸ばすが慣用的に伸ばさなくてもよい」というふうにしていて、JIS 的には「原則伸ばさない」としていたので、マニュアルなどでは技術者(上から)目線で伸ばさないとなってきたのだろうと思う。

長音を棒引きで表すことに関しては戦前からいろいろ議論はあるのだが、(日本語の)発音に近い表記をするという観点で、この決断は評価できる。(伸ばさないほうが「専門的に見えるから」という理由でそう書く人もいるんだろうけど。) 伸ばす、伸ばさないで曖昧性が解消される状況でもなければ、どちらかになっていたほうが分かりやすいし。発音と表記は必ずしも一致する必要はないのだが、自分の親くらいの年齢だと、発音のせいで通じなくて困ることもある。

個人的には曖昧性が解消されているのはパソコンのソフトウェアの意味の「ドライバ」と車の運転者の意味の「ドライバー」くらいかな。工具の意味の「ドライバ」はどちらかというと「ドライバー」に近いかも(少し伸ばして発音している?)。蛇足ながら全部英語では同じ driver という単語なので、「ストライク」「ストライキ」が両方英語では同じ発音の strike なのに日本語では意味に対応して発音が違う(変な感じだけど)という生き残り方は可能性としてはあるのだが、元の言語での発音が同じだったら同じ表記になってほしいものである。(ちなみにこういうふうにある言語から単語を音を元に訳すことを transcription、文字を元に訳すのを transliteration という)