〆切

Twitter なんか見ているとどこも学振の〆切でみなさん申請書書きにがんばっているらしい。お疲れさまです。細目が違う人同士は基本的に競い合う関係にないので友好的に情報交換なり仲間意識が生まれるわけだが、細目が同じだと数名のパイを奪い合う間柄なわけで、なかなか厳しいものである。

まあ今年出そう(出した)という何名かから話を聞いたら例外なく「書いたことで非常に勉強になった」という話なので、やはりドクターの学生であれば通るにせよ落ちるにせよ、研究者志望の人は他にやることがないならとにかく書くべきだとは思う。ドクター出てすぐ科研費(若手とかスタートアップとか)で全く経験もなく書くより、学振で一度経験しておいたほうがスムーズに書けるのは言うまでもない。(初めて書くと苦労するらしい。書いたことのある人は分かると思うが……)

と、話はそちらではなく、学振出して一息ついている人は、Google サマーインターンの募集もお忘れなく。M1/M2/D1 くらいの(情報科学に興味のある)人で、まだどこにもインターンに行ったことない人は特にお薦め。〆切は14日らしいので、まだ準備していない人はそろそろ準備しないと(特に英文履歴書なんかは初めて書くと意外と時間がかかる。1日仕事になることも)間に合わないかも。

もう一つの〆切は NAIST の情報の人限定だけど学内プロジェクト(CICP)の〆切が19日。こちらも出すつもりの人はそろそろチューターの人(助教以上のスタッフ)にも推薦文を頼まないといけないので、研究計画書を詰めないと間に合わない。ちなみにどういう基準で選考される(された)のかは昨年度の報告書に詳細が書いてあるので、昨年度やった人もしくは COE 事務室で昨年度の報告書くださいというともらえるのではないかと思う(←くれないかもしれないけど少なくとも見せてはくれるはず)。

で、審査項目は以下(同報告書7ページ目から一部改変して抜粋)。

  • 独創性に関する項目
    • メンバの選定に特色があるか(1-5)
    • チャレンジングな目標か(1-5)
  • 実現性に関する項目
    • 期間内に達成可能な計画か(1-5)
    • 裏付ける実績があるか(1-5)
  • おもしろさに関する項目
    • スプリングセミナー等でもに馴染むか(1-5)
    • おもしろさや楽しさがあるか(1-5)
  • 計画性に関する項目
    • 公募条件を満たしているか、様式の大幅な逸脱がないか(1-5)
    • 予算目標と執行時期は適切か(1-5)

今年度がこれと同じである保証はないが、同じような感じだったとすると、このうち最後の計画性に関する項目はチューターの人に相談して、なにが校費で買えてなにが買えないか、どう書けばいいのか教えてもらうしかない(ここで恥ずかしくてチューターの人に相談できない人は、そもそも公募でかなり大々的に自分たちが宣伝に使われるのには向いていないと思われる)。

次に最初の2つだが、「メンバの選定」と「裏付ける実績」の部分はこれはなにをやるかというよりは、誰とやるか(自分ひとりでやるか、それとも誰かと組んでやるか)で自ずと決まってしまうので、そこはちゃんとポリシーを選んで決めたほうがいい(無闇に来るものを拒まずにすると後々崩壊するし、同じ研究室で固まってやるよりはいろんな研究室やいろんな学年がいるほうが日程調節は大変になる一方、参加した人は勉強になる)。実績については、ない人は学部のときの課題研究でやったことでもなんでもいいのでとにかく書く。書かないとそこはなにも評価されない。埋まるほどある人はセレクトすればいいだけの話で……

また、最初の2つでも「チャレンジングな目標」と「期間内に達成可能」というのは表裏一体で、簡単すぎるとつまらないが、期間内に終えられそうにない計画を立てても意味がない。最終的にはこういうロードマップになっているが、この期間内ではこの部分をやる、というのが定石的な書き方である。(まあこの学内プロジェクトは単年度申請なのでそういう書き方にはあまり向いていないかもしれない) 予想通り行かなかった場合の善後策についても書いてあることが望ましい(これを書かない人もいるが、書くべき)。この部分が完成しなかったから全部できませんでした、というのでは困るので……

最後、おもしろさに関する項目だが、昨年度以上に今年度はデモ(ポスター)やワークショップでの(口頭)発表をやる、ということが協調されているので、とにかくデモできるような提案をすることが通りやすくする鍵である。未踏の場合は面接のときにプロトタイプのデモができたりするのはよいことだと思うが、この学内プロジェクトは泣いても笑ってもたった2ページの申請書で決まってしまうので、これはデモで受けそうだ、やったらおもしろそう(interesting というよりは fun の意味)だ、と思わせるのは大事である。

学振 DC1 だともらえるのは年間300万円(科研費60万+奨励金240万)x3=900万で、書くのは賞味6ページなので、1ページあたり150万円なので、1ページ書くのに150時間かけても時給1万円である。学振の価値をお金だけで計ってもそれくらいなので、1ヶ月くらいうんうんうなって研究計画書書くのはいい勉強だと思う。同様に、この学内プロジェクトも2ページで150万円なので、1ページ75時間かけて書いても時給1万円である(まあ自分の懐に入るお金ではないが)。時間かけたらかけた分だけ勉強になると思うので、特に M1 の人中心にがんばって書きましょう!