大学院教育改革に3,000万円使うとしたら

これまで NAIST の学内プロジェクトと書いてきたプロジェクト、学内にしか web サイトが公開されておらず、なんでこんなにひそひそやっているのかと思っていたが、ようやく説明の PDF 創造力と国際競争力を育む情報科学教育コア「プロジェクト型研究」が公開されていた。英語での正式名称は NAIST Creative and International Competitiveness Project で、公式略称 CICP である(こんな略称作って自分たちだけで使っているのは半分自己満足なのかもしれないが……)。

それで、昨日デモ&ポスターがあった NAIST の学内プロジェクトの一つとして行われていた言語教育プロジェクトについて、tomoy-ko さんが書いた文章の転載許可をもらったので以下に転載。(転載に伴って名前をアカウントに改変した。転載に伴う文責等については tomoy-ko さんでなく自分に全てあるので問い合わせは小町まで。なお文中の「私」= tomoy-ko さんである)

「プロジェクトマネージャ」の hiromi-o さんは素晴らしい統率力で、全体を統括し、プログラマ部隊が嫌う事務手続きや折衝を一手に引き受け、プロジェクトにいる怠け者(つまり私w)の尻を叩いて叱咤激励してプロジェクトを進め、
「実装部隊」である yuusaku-t さんや noah-e さんはコードを書くことに専念でき、その期待に充分にこたえ、
「研究部隊」である kosuke-s さんは「文の難易度を文型からとる」というものをシードデータを与えると自動的にパターンマッチングテーブルが生成されるという面白い方法でしっかり実装してくれました(私は当初、これは手作業で約1000もあるルールを書く手法になるかと思い、かなり面倒になるとみていた)。

私の担当していた例文提供が遅れたことが yuusaku-t さんのdb登録作業の遅れを招いてしまい、最終的に前日には全員が徹夜(ごめんなさい、私は途中で寝てしまいました)に至ったという点は「プロジェクトの進捗管理」という意味ではダメだったかもしれませんが、概ね「プロジェクト型」の「研究開発」という意味では大成功だったと思います。

プロジェクトにもいろいろあったかもしれないが、自分は採択当初から8-9割のプロジェクトは迷走して失敗すると見ていたのが、昨日のデモではかなりみんながんばってやっていて、むしろ逆にびっくりした。そういうわけで、少しでも勉強になったプロジェクトがあれば成功だと思っているし、言語教育プロジェクトは(チーム一丸で開発したという事例として)とても成功した部類だろうし、学内プロジェクトの企画自体も成功していると思う。

端から見ていると「こんな成果も大してないオママゴトに金を出すのは無駄」と言う声も聞くが、これ「踊る阿呆に見る阿呆」と同じで見て「あいつら大したことしてないじゃん」というのは簡単(岡目八目)だが、そんなこと言っているほうも似たようなものなので、「同じ阿呆なら踊らにゃ損損」というわけで、やったほうが楽しいと思うんだけどな。

逆に言うと、大学院教育として学生のために3000万円使えます、と自分が言われたとき、最大限の効果を上げるにはどういうふうに使うか? と言われて、こういうふうに使うのは非常に効果が高いと思うし、これ以上の使い方があるなら逆にそれを聞きたいのだけど……。

特待生制度はどうしても成績優秀者のための制度だと思われがちだし、額も増額して年間300万援助する特待生10人採用します、なんて言ったところで、そういう人たちってたぶんお金もらってももらわなくても研究成果がもらったほうが目ざましかったなんて(想像だけど)ないだろうし、特待生制度の中で問題点をいろいろ見た自分としては、学内プロジェクト制度はあの制度の悪いところを発展的に解消して非常に優れた制度に進化させたものだと思う。

来年度も募集がある(今回は4ヶ月しかなかったが、次回は1年間程度研究開発期間がある)そうなので、来年度の入学生やいま M1-D1 くらいまでの人はネタ考えて挑戦してみては?