シドニー大学の時間割・NAIST の時間割

最近文3から科学史科学哲学に内定したという学部2年の人からメールをもらってやりとりしているのだが、AIKOM のことについて聞かれて古い記憶を呼び起こす。成績表ってこの日記に貼らなかったっけ? と思ったのだが、どうも貼っていないらしい。貼っていたら検索楽だったのに……。しかし時間割は見つけた。秋学期の時間割春学期の時間割

シドニー大学を選んだのはオセアニア地区で科学史・科学哲学のコースを持っているのがこの大学だけだったからなのだが、どんな授業があったのかメールにも書いたので引用する。

凡例: HPSC で始まるのは科学史・科学哲学科(History and Philosphy of Science なのでよく hps と略す)の授業、LNGS で始まるのは言語学科(Linguistics)の授業、PHIL で始まるのは哲学科(Philosophy)の授業。4桁の数字が1で始まるのは1年生向け、2で始まるのは2年生向け、3で始まるのは3年生向け。オーストラリアでは文学部・教養学部は3年制で、就職する人は3年で(卒論書かずに)卒業、大学院に行く人は honors course というコースを1年余分にやって卒論を書いて進学する(大学院行く人は合計4年学部をやる)。3で始まる授業は大学院乗り入れ授業になる。

  • HPSC2002: The Birth of Modern Science
    • 科学史の授業。1492年を軸に近代科学の成立を概観。非西欧科学も扱う。科学史の授業って佐々木先生の授業のイメージしかなくてあんまおもしろくないなと思っていたのだけど、議論のネタになる題材選ぶとおもしろいのだと知る。結局卒論を廣野先生・ついで岡本先生にお願いすることになったのはこの授業取った影響かも。
  • LNGS1005: Introduction to English Linguistics
    • 言語学の授業。題材が英語。1年生向けの授業なので簡単、でもって友人を作りやすかった。大学院は言語学系のところにしようと思ったきっかけ。
  • PHIL2219: Philosophy of Mind
    • 心の哲学。信原先生の授業でやっているようなこと。ただ毎週のチュートリアルのグループディスカッションで英語で議論しないといけないのがしんどかった。
  • PHIL3012: Origins of Analytic Philosophy
    • 分析哲学の授業。野矢先生の授業でやっているようなこと。3年生向けの授業だったので内容が高度でついていけないところもあった。
  • HPSC2001: What Is This Thing Called Science?
    • 科学哲学の授業。チャルマーズの書いた講義名と同じ書籍がテキスト(和訳は『科学論の展開』。野矢先生が「科学哲学」という学部前期の授業でテキストに指定したことがあり、村田先生が「科学哲学概論I」とかなんだとか科哲の学部後期の必修授業でテキストに指定した)。これも反証可能性とかなんだとかチュートリアルで議論するのが楽しかった。
  • LNGS2002: Syntax
    • 統語論の授業。先生がフィールド言語学の権威で、毎回違う言語を題材にして「主語という概念は全ての言語に普遍的に存在するか」とか練習問題を解きながら学ぶという内容で、1年を通じてこの授業がいちばんおもしろかった。いまは情報系の大学院にいるけど、フィールド言語学の大学院に行こうかと最後まで迷ったのはこの授業が一番おもしろかったから。もちろん哲学から言語学に行こうと思ったことにも強く影響。
  • PHIL2219: Philosophy of Mathematics
    • 数学の哲学、数学基礎論という分野の話。野矢先生の『無限論の教室』読んだことあれば、あんな内容だと思ってくれればよい。対角線論法とか言っていたときはよかったのだが、先生が非常に教え方下手な先生で、聞いていてちょっと分かりにくかったし、チュートリアルも全然盛り上がらなかった。最後小論文書くのも苦痛だったし、この授業は取って失敗だったかなと思った。

いまこうなっていることを前提にあのときシドニー大学で授業選んでいたら、きっと自然言語処理の授業入れてそう。もっとも、あのときは James Curranはいなかったけど。入れようとした記憶はあったのだけど、prerequisite (この授業取りたい人は、1年生のときにこの授業取って、2年生のときにこの授業取っていないとだめ)がきつかったので、情報科学系の授業は少ししか取っていなかった自分は断念したのであった。教養学部の交換留学だったので、工学部の授業は(履修要件の関係で)取りにくいって感じ。

こういうのはちゃんと書いていないと忘れてしまうなー。ちなみにどれくらいの人が利益あるのか知らないけど、秋入学の人が松本研にけっこういるので、NAIST の自分が M1 のときに履修した III 期の時間割。(難易度とかおもしろさとかのコメントつき) I期,II期,IV期の時間割もクリックすれば見られます。

IV期の授業で M1 のときに履修放棄してしまった計算神経科学と音情報処理論IIは M2 のときに再履修してちゃんと単位もらったが、M2 で IV 期の授業出るのは正直つらかったので、取りたい授業がある人は大変でも M1 のときに取りきっておくのがよいと思いますよ。結局2年間で40単位取ったのだけど、普通の人はこの半分で修了できるらしい……