卒業論文

もうジャーナルが出たのでこちらも出してよかろうということで、卒業論文の PDF →『台湾植民地期の言語政策 -- 安藤正次と二語併用の台湾』 

卒業論文というのはその研究室の主査・副査の先生方3人くらいが目を通すものらしいが、加藤さんから「せっかくこれだけの力作なのに、自分を含めて数人しか読まないのはもったいないと思いますよ」「自分も科学史に専攻を変えるとき前の研究室の先生から『せっかくだから卒論まとめて外部に発表したら』と言われたのですが、そのときはもう前の研究を続ける気はなかったし、全然違う分野で業績としても評価されないと思ったから発表しませんでした。でも、そのときは気にならなかったのだけど、あとになって(10年以上経ってから)出しておけばよかったかなと少し後ろ髪引かれることがあったので、出してみたらどうですか」と言われたので、自分もそのときはあまり出す気にならなかったのだが、とりあえず論文誌に載せてもらえるなら載せてもらおうという方向で岡本先生に伝えてあった。

それでそのまま自分は載ったから載らなかったか全然気にしないままずっとほったらかしにしていたのだが、今年の1月くらいになって(加藤さんの言うとおり)急にやっぱり載せてほしくなり、岡本先生に相談したのであった。すると、ただ単に発行が遅れているだけで、ちょうどいま校正をお願いしようと思っていたところでした、という返事をもらったので、校正に取りかかったのだが、結局発行は2005年12月付のものが2006年6月までかかった計算になる。

科学史の分野では、政治的なスタンスが議論の展開に影響を与える場合は、自分は中立ですよという顔をして全体をまとめてはだめで、自分がどういう立ち位置なのかはっきり明示して議論をしなければならないという縛りがあり、本来ならばその部分を書いた章がもともとあったのだが、卒業論文で政治的な発言をするのは少し危険(審査のときに問題になるかもしれない)なので書くのはやめましょう、ということで削ったのだが、結局今回も書き直すだけの時間がなくてそのまま出してしまった。その部分を書き直すためには実は資料が一つ足りなくて(その資料のありかも分かっていたのだが、複写依頼を出していたら卒論の提出期限に間に合わなかったので断念した)、そこを埋めようと思って去年の4月に論文に関する資料段ボール1箱東京から持ってきていて、資料が揃ったらいつでも書き直せるようにしてあったのだが、結局資料も揃わないままで少し心残り。

とはいえ他にこの分野で研究したい人に参照できるものは提供したと思うので、ほっとしているところ。