Neuroeconomics

特待生に応募した M1 の人たちが相談したいという話だったので行ってきてみる。すると、そのうちの一人が日本で神経経済学 Neuroeconomics の研究を盛り上げたいという話をしていたので、少し興味を持つ。

少し前の日経新聞のコラムにも解説が載っていたが、神経経済学はここ数年生まれた分野らしく、人間の経済活動(具体的には株価が上がったときトレーダーは株を売るかどうかとか)を神経生理学レベルで分析する、というものだそうだ。これまでの経済学では個人は合理的な行動を取るという大前提の元でモデルを構築してきたが、つい先日ノーベル経済学賞行動経済学の研究者が受賞したことにも示されるとおり、最近は合理的な個人という仮定が問われてきているらしい。

各人が合理的な行動をするって仮定はかなり疑わしいとずっと感じていたので、結果がどちらに出るにせよ実際に検証できる形で実験できるのはけっこう画期的だと思う。

まさしく一昨日実家で経済学部に通っている弟に神経経済学の話を振ってみたのだが、彼は理論経済学寄りのスタンスなのでその点は割り引いてほしいといっていたが、彼によると、行動経済学とか神経経済学とかはかなりうさんくさい領域で、経済学の研究者からは実験の設定が適切でないといった批判があり、日本の経済学部では阪大くらいしかまともに取り合っていないという話であった。また、古典的な経済学もこれまでにかなりの成功を収めてきたし、神経経済学がこれまでの経済学をゴミ箱に追いやるというものではなく、完全に自分の行動が(短期的な)利得につながるネットオークションとか株の投機といった領域では神経経済学的な説明でうまくいくかもしれない、といった分野だそうだ。とはいえ、神経経済学のアプローチで定量的に効用関数を推定することができるのは経済学の人たちには大きいことらしい。

日本でこの領域がどんな感じかその M1 の人に聞いてみたら、日本全体では京都府立大に神経経済学の第一人者がいて、あと京大でも研究しているところがあるので、関西圏一帯を神経経済学のメッカにしたい、という話だったが、いずれも生理学系の研究室だそうだ。自然言語処理言語学情報科学の間で少し文化の違いを感じるが、経済学でも同じような問題がありそうだ。

個人的には融合領域大好きなので、もっとこの分野ががんばって発展するといいなーと思っている ;-).