起承転結

卒論のアブストラクトを書いて eric-n さんに添削してもらったのだが、「アブストラクトが起承転結だから分かりにくい」と言われた。英文のアブストラクトといえば一番最初に示したいことが来て、それを支持する論拠を次々書いていく、という論理構造で書くことが決まっているので、起承転結のように最後まで言いたいことが来ないのはとても理解しにくいそうだ。うーん、なるほど。

確かに言われてみると論文はそう書きなさいよというふうに習ったのだが、素直に日本語の論文の要約を英語で書いてみたら(日本語で書いて英語にしたわけではないのだけど)起承転結の構造が埋め込まれてしまっていて、そもそも思考の体系が違って日本語的思考方法が染みついているようで、これを洗い流すのはけっこう大変そうだ、としばしショックを受けた。英語的思考方法も身につけたいよなあ。勉強になる。

誤解のないよう書いておくと、たぶん日本語で書く大概の文章は起承転結で書いた方がいい調子になるものであり、日本人が英文読むときももしかすると起承転結で書かれている方が(英語のネイティブスピーカーからすると理解しづらくなるらしいけど)分かりやすいのかもしれない。eric-n さんがよく「この人の論文は構造が分かりにくい。ネイティブでないのがすぐ分かる」と言っているのを聞いて、そうかなあ、別に分かりにくいところない、というかむしろ分かりやすいんだけど、と思うことがよくあるのだが、こういうことだったのか。

しかしこうやって卒論また見るとどうしても手を入れたくなってしまう。もともと1つのトピックだったのを(卒論の規定枚数に)字数が足りなかったので2つ他のトピック見つけてきて合成し、字数が足りたのでそのうち1つのトピックをばっさり削除したのだけど、まだトピックをどちらか片方にするとそれぞれ単体では字数が足りなかったので2つはそのまま残して時間切れ、というもので、eric-n さんが見てもこの論文の論理構造はおかしいそうだ。どっちかに絞るべきなんだよな。なにがしかの論証したいことがある論文と見るとイントロダクションの部分がやたら長い(全体の1/3)論文でもあるし、なにかこれは伝えたいメッセージがある文章だと思うと余分な専門的議論が全体の2/3を閉めている散文で、どっちに見ても中途半端。論文だと思うとイントロダクションの部分ものすごく短くしてまとめ直すほうがいいのかな。問題はそれをしている時間があるかどうかだが……。