桜台

勉強会の3人で採点を6時に終え、小松先生に夕食をごちそうしてもらう。ひばりが丘団地のあたりの谷保という地域について調べるバイトをしないか、と勧誘されたりする。

11時ごろ、「行く場所ができた」と言うのでみんなで外に出てタクシーに乗ると、上板橋で降ろされる。なんだろう、と思っていると、そのあたりを手当たり次第練り歩く。壊れた井戸があちこちにあったり、普通の家の間にバラックのような家がそこかしこにあったり、日曜の夜なのにひっそりとしていたり(道路にも灯かりが点っていない)、異様な雰囲気が漂う。

そう、食事のとき部落について話していたので、近くに足を運んだのだった。

その後さらに練り歩いていると、ふと小松先生がお堂に入っていき、拍手を2回打って拝む。なにごとだ、と思ったら、そこは男女の縁切り堂であった。他の2人は拝まなかったがしっかり自分は拝んでおく ;-p

そのまま2軒目の店にタクシーで乗りつけ、朝の5時まで飲む。これまで言えなかったこと(東大がずっと嫌で嫌で仕方なかったこと、など)をやっと口にすることができた。「小町よう、本当につまらないことしてるよ。きみはもっと他のことをすればいいのに」と言われた(これだけ書くと小松先生がひどい人に見えるような気がするが)。「どのあたりがつまらないんですか?」と訊くと、「全部だよ」と教えてくれる。ああ、やっぱり大学に入ってから考えてきたことは全部つまらないことだったのだな、と分かってうれしかった。

小松先生にもそのとき言ったのだが、東大に来てよかったと思うのは小松先生の授業に出られたことくらいだ。とはいえ、悪いことばかりでもなかったかな。