ボーダーにいるかいないか見極める

今日からまた3日間、家の壁紙の貼り替え。とりあえず10月のうちに手で触ってボロボロはがれるところはやってしまいましょう、ということで……(従って、基本的には触らない棚の中だとかは後回し)。

午前中は出勤して国際会議の査読に対する反論(author rebuttal)のための作戦会議 x 2。今回はスコアも見られるので、1本は reject で1本は border のようであるが、いずれにせよどちらの論文も筆頭著者としては初めての国際会議投稿なので、経験のためにしっかり反論を書いてもらうことにする。どこをどう考えて反論を書くか、というのも研究に慣れてくると(査読を受ける側ではなく、査読をする側の立場になると)分かってくるのだが、それも少しずつやるものなので(そのうち、断りたくなるくらい査読を頼まれるだろうし)。最初から border ではなく明らかに border を超えているくらいの論文を書きたいものであるが、中々難しい。

昼から南大沢に移動してアルゴリズムの授業。この授業は資料も電子的に全員に配布してあり(去年、後ろの座席からスライドが見にくいというアンケート結果があったため)、毎回紙で授業時間中に演習をしてもらうことにしたが、配点は授業全体の20%なので、内容さえ分かっていればそんなに出席しなくてもいいのだが、律儀に「補講の日は私用で欠席したいのですが、出なくても大丈夫ですか」と聞いてくる学生がいて、「点数的にはせいぜい100点中の4点なので、自分で判断して休んでいいよ」と答えたりする。

午後は日野に戻ってきて M1 の進捗報告を聞く。一通り研究を仕上げてサーベイのフェーズに戻った学生と、サーベイは終えてベースラインの実装のフェーズに入った学生と、ベースラインの実装も済んでいて提案手法を試行錯誤している学生など、いろんな学生がいておもしろい。昨年度から気を付けているのは、あまり研究ネタに安易にゴーサインを出さないことで、完成したとしてもインパクトが小さい研究よりは、できるかどうか分からなくてもできたらインパクトが大きい研究に取り組んでほしいと思っている。あとは、世界中でみんなが取り組んでいる(我々がやらなくても誰かがやる)ような研究よりは、我々でないとやらない(できない)ような研究をやる、ということも。

最先端の研究に食らいついてやっていくとすると、もう少し研究ネタに対する嗅覚を養わないといけないと思う(どうもうちの学生は「この研究ネタはよい」と思う時期が1年くらい遅く、そう思ったタイミングはもうシーズンが過ぎている)のだが、うちの研究室の体制だとこの嗅覚が磨かれるのは研究室外で長期の研究インターンシップや共同研究をやるときであり、みんなに外に長期間行ってもらうのが一番手っ取り早いと思う。一方、個人として嗅覚が上がっても、なかなか研究室の他のメンバーまで目利きが良くなるわけではないようで、まずは個々人がそうなってもらうのがよいと思うが、少しずつグループ全体としてスピード感を高めたい。そもそもみんながやるようになってから(みんなが話題にするようになってから)「これはよさそう」と思って取り組んでも遅いわけで、1つ2つ出てきたくらいの段階で(あるいは研究のエキスパート集団の中の噂で聞いたりして)「これはよさそう」と思って試すくらいでないと遅いのではないかな(本当は論文を1研究室で同時に10本くらい通す場所にいるのが一番いいのだろうが)。