輪読か研究するかの選択肢

午前中は NAACL HLT 2019 の読み会。3本紹介してもらったが、以下がおもしろかった。

  • Damien Sileo, Tim Van De Cruys, Camille Pradel, Philippe Muller. Mining Discourse Markers for Unsupervised Sentence Representation Learning. NAACL HLT 2019.

これは文の表現学習をするために next sentence prediction をするのではなく discourse marker を手かがりに discourse marker を介してつながる文対をマイニングし、discourse marker prediction タスクで文の表現学習をすることで文の分散表現が獲得できますよ、ということを示した研究。英語ではこのようにうまくいくが他の言語ではうまくいかないかも、というのは欠点ではあるが、これで学習した discourse marker を可視化してみたりとか、着眼点がおもしろい。乾さんの「ために」という表現を使って知識獲得する研究を思い出した。

昼からは B3 の研究室インターンシップの顔合わせ。毎年このタイミングで顔合わせをしていて、半年間研究をして言語処理学会年次大会で発表するのがいいか、あるいは本の輪読がいいかを決めてもらっているのだが、今年は研究室インターンシップに来た4人の意見が2:2で割れて、輪読がいいという人と研究をやりたいという人の両方がいたので、結局研究室インターンシップとしては4人全員で輪読をして、研究をやりたい B3 は研究室インターンシップとは別にやってもらうことになった。これまで輪読をした年が2回(「言語処理のための機械学習」「計算機プログラムの構造と解釈」)、研究して論文を書いた年が3回なので、ちょうど拮抗。本人のやる気や配属と無関係にインターンシップ先が決まってしまうシステムだとやはり限界があるので、こんなところだろう。来年度以降は情報科学科の学生になるので、新しいやり方を考えることになりそう。

午後は研究室見学。後期の研究室公開は自分も話すことにしているのだが、毎年このタイミングの研究室見学は広報係の学生に担当してもらっている。「うちに来たいが GPA 的にうちには来れない」みたいな学生が最近は時々いるのだが、こればかりは自分ではどうしようもないので申し訳ない。自然言語処理をしたい人には広く門戸を開きたいのだが、うちのコースの GPA は「他の人の言うことを聞いていて、しっかり〆切を守る」ということと強い相関があるので……。

夕方は久しぶりの教授会。今年度は教授会の数が(学長の号令で、教授会以外も委員会の開催回数が)かなり減っていて、デメリットもあるのだが、メリットが大きく上回るのでかなりありがたい。デメリットとしては情報の共有が少し弱まることと、大学に対する帰属意識が希薄になることなのだが、良くも悪くもこれくらいだともっと研究大学っぽくなると思うので、自分的には歓迎である。