学会に参加する人しない人

今日は朝から情報処理学会に参加。来たれ!ワークライフバランス伝道師 という企画に呼んでいただいたのである。会場の福岡大学は前に情報処理学会自然言語処理研究会(NL 研)で来たことがあるので、足を運ぶのは2回目。

午前中朝イチのセッション。セッションは時間がキツキツで、パネルディスカッションも QA もなかったが、育児の話(5件)だけでなく介護の話(1件)、リモートワークの話(2件)など、いろんな話があったのがよかった。

特に「パレート改善」の話は「なるほど」と思うもので、他の人の不利益を生まない範囲で改善しないと、結局育児中の人の負担は他の人が負担することになると、全体での不満が増大する、という話はその通りで、可能な限り「パレート改善」を目指すべきだろう。(ある時点での負担の公平化をするのではなく、時系列間での負担の公平化を許容し、子育て世代以外が負担して平準化するのだろうが、企業間での転職も一般化しつつあるので難しい)

育児に関する話では、NAIST が研究に関する出張のためのベビーシッター代は全額負担してくれる制度がある、というのはびっくりした。自分も NAIST の教員時代には男女共同参画室のイベントに(特に子どもはいなかったが、将来2人暮らししたとき子どもはほしかったので)押しかけ参加していて、学内に保育室を作ったり、いろいろ制度を整えているのは知っていたが、これはすごい。自分自身、NAIST にいて男女共同参画室でいろんな方のお話を聞いたのがとても参考になった。バイオサイエンス研究科には、夫婦で大学教員という方もたくさんいらして、家族バラバラに生活している方も少なくなく、いろんな家族の暮らし方があるのだとカルチャーショックだったが、そういうあり方もあるのか、それでもいいんだ、と心が楽になったのである。

自分は娘が生まれて家事・育児を夫婦で分担するようになり、逆に仕事が効率的にできるようになって研究業績が上がった、というような事例を紹介した。結婚した(というか同居するようになった)当初、そして子どもが生まれた当初、それぞれ自分の(仕事)時間が減って汲々としたのだが、仕事が終わらなければ仕事の時間を増やして終わらせる、という働き方ができなくなり、仕事に使える時間がカッチリ決まったため、仕事に優先順位をつけて効率的に働く能力が鍛えられたので、これはこれで一つの財産だと思っている。むしろ仕事以外も特に手抜きすることなく楽しめているし、長期的には(60歳過ぎたらどんどん仕事以外の交流関係にシフトしていくだろうし)両方最大限に活用しているこれがベストなのではなかろうか。

あと、情報保障のために東芝の自動音声認識システムが使われていたのは興味深かった。誤認識もそれなりにあるが、全く何も分からないよりは、8割でもリアルタイムで分かった方がいいのかなと。

(お迎えがあるので)みなさんとランチする暇もなく福岡を後にしたが、みんな頑張って学会に参加しているなぁという印象。どちらかというと、学会に参加しなくてもいいような仕組みになっているほうがいいと思うし(男女関係なく仕事ができるのは、学会文化より論文誌文化や著作文化ではなかろうか?)、なんとしてでも参加できるような仕組みを作るのも有益だが、そもそも参加しなくても大きな不利益がないようにした方がいいんじゃなかろうか。

今回のトークで「ワークライフバランス伝道師」に認定していただいた。今後も仕事だけに邁進せずにぼちぼちやっていきたい。