NAACL に long が通り一区切り

朝は4月からの新入生と Skype ミーティング。そろそろ新入生オリエンテーションと新入生歓迎 BBQ の日付を確定しないといけない。今年はゴールデンウィークが連休なので、連休の初日にやるべきか、あるいは4月13日にやるべきかという二択。社会人の人たちは旅行に行ったりするかもしれないし、4月13日がいいのかなぁ。

午前中は再度眼科に行く。どうも最近近くのものが見づらいので、老眼が始まったのかと思ったのだが、特に老眼という訳ではないらしく、検査の値等も良好だそうだ。まあ、40-45歳くらいでみんな少しずつ老眼に気がついてくるそうで、人によって老眼に気がつくかどうかが違うらしいので、こればかりは仕方ない。小学4年生からメガネなので、人生でメガネをかけている期間が3/4あり、もうメガネは身体の一部くらいだし、遠くが見えないのは仕方ないとはいえ、近くはメガネなしでも見えていたのが見えにくくなってきたのがちょっとショック。

そういえば、研究室で自然言語処理の最難関国際会議の一つ、North American Chapter of Association for Computational Linguistics (NAACL) に投稿していた6本(2本が full paper で4本が short paper)のうち、1本が採択。筆頭著者の修士論文の研究成果で、M2 になってからもよくがんばってくれた。そもそもこれまで自分は NAACL の本会議で論文を発表したことがないので、それも嬉しい。今年の初めには、首都大に来てからの学生との共著で自然言語処理の3大トップカンファレンス(ACL/EMNLP/NAACL)に論文を通したい、というのが目標だったので、無事目標を達成できた。1本通すところだけではまだ実力とは言えないので、ここから3年は継続して発表できるようにしていきたい。

  • Hikaru Omori and Mamoru Komachi. Multi-Task Learning for Japanese Predicate Argument Structure Analysis. NAACL 2019. (accepted)

そういえば、NAIST で博士後期課程の学生から助教になったときは、いかに学生のときの研究から離れるかということを苦心して、(その時点では世界的には情報抽出の研究者として見られていたところ)それまで全く関わっていなかった言語教育・言語学習支援の研究に着手したが、それでも学外からは「松本先生の研究をやっているんだよね」と言われ続け、これは NAIST を離れないとダメだ、と思って助教の2年目から公募に出し始めたのである。公募戦線3年目にして首都大に拾っていただき、1年目(2013年)は業績的にも研究費的にも松本先生からかなりお力添えいただいたが、2年目(2014年)からは松本研とは完全に独立して研究をスタートし、また研究テーマを一から練り直すフェーズに入った(世界的にはそのころは言語学習・言語教育支援の研究者として見られていた)。

首都大に来てからは、意欲的な学生たちと一緒に研究でき、深層学習が自然言語処理で流行るのと同時期に(正確に言うと、日本ではまだ早い方だったが、世界的にはむしろ遅いタイミングで)研究に取り入れ、評価極性分析や述語項構造解析のような言語理解・分析タスクの高度化に取り組むとともに、機械翻訳を代表とする言語生成の研究にも着手した。松本研を離れて自力でトップカンファレンスのフルペーパーに通すところまで研究室を育てて、ようやく一つ恩返しかなと思っていたのである(そのテーマが、松本研というか修士のときに取り組んでいた研究テーマの発展版だというのが奇遇だが)。

ちなみに、Student Research Workshop でコツコツ発表しているのも、研究室としてトップカンファレンスに挑戦する(学生セッションといえど、研究室から参加して発表する学生が毎年いる)というマインドセットになってほしいからで、YANS(NLP 若手の会シンポジウム)への参加や自然言語処理の各種共通タスク(機械翻訳や文法誤り訂正等)への参加など、それぞれ単体で見ると華々しい研究成果というわけではないのだが、研究室のレベルを少しずつ上げるための投資だと思って取り組んでいる(このあたりの考え方は NAIST 中村先生からお聞きした話を参考にしていて、松本研はこういうやり方ではなかった)。

午後はひたすら国際会議の投降原稿の添削。今回(ACL)は前回(NAACL)の反省を活かし、投稿したいという人全員の投稿は許可せず、投稿して勝ち目がありそうな研究だけを許可する方針にした(NAACL で6段階で4のスコアをつけた人が1人もいない原稿は、ACL に投稿しても意味がないと考えていて、投稿を見合わせてもらった)ので、余力を残してじっくりコメントすることができる。合計2本投稿するのだが、2本とも通るといいな。