久々に国際会議参加する

PACLIC 初日は幸いなことにフルで参加可能だったので、ホテルから会場の香港理工大学に向かう。

Amazon で香港にて4日間利用可能な SIM を数百円で購入していたので、iPad mini に挿入して Google Maps を使えるのだが、通れる道路の案内がよく分からずに迷って道行く人に聞いたりしてなんとか到達。今回の SIM はマルチ SIM で、micro SIM や nano SIM などの大きさを自分で選べるのだが、発送時に選択したり自分でカットしたりする必要がなく、もうみんなこれで販売すればいいのに、と思ったりする。

今回香港を歩くのは初めてだが、道行く人や町並み、雰囲気はかなり日本に近い。台湾(台北)も日本っぽいと思ったことがあるが、それ以上。台湾はどこか南国の雰囲気であるが、香港はそこまで南国っぽくないのは気候のせいだろうか。台湾はケッペンの気候区分で Cfa、香港は Cwa で、冬季の雨が少ない、というのが似ているのだろうか。

午前中は共著論文の口頭発表。

  • Yoshiaki Kitagawa and Mamoru Komachi. Long Short-Term Memory for Japanese Word Segmentation. PACLIC 2018.

これは実に2015年にしていた研究で、2015年当時であれば多分まだそこそこ新規性もあっていい話だったのだが、2016年のうちに通すことができず、卒業に合わせて arXiv に更新版を出して終わりでいいかと思っていたら少しずつリファーが増えてきたので、それならやはり国際会議に出しておこうと思って出してみた、という経緯である。今考えてみると、2016年に本気でがんばって COLING 2016 に通しておくべきだった(内容的には、その時点であれば通せる内容だった)のだが、原稿のクオリティ的にはあの時点では通せなかった(修士論文を書いている過程で原稿的によくなった)と思うし、あとから考えても仕方がない。

説明部分は練習すればいいので対応可能だが、どのような質問が来るか分からない(そして、すでに1年以上前の研究なので答えにくい内容が含まれるであろう)質疑応答で困るかなと思ってスタンバイしていたら、やっぱり質疑で答えられない質問があったので、代わりに回答する。これで行った甲斐もあった。

ランチは香港の現地の芝居というのがやっていたので、後ろから松本先生を盗撮。学生の話では「これまで参加したどの国際会議よりもコーヒーブレイクやランチがしょぼい」という感想で、それは確かに NAACL なんかと比較すると(IJCNLP ですら)見劣りするだろうが、この規模の国際会議はこんなもん、と思ったりする。自分自身このくらいの規模の会議は運営側に回る可能性があるわけで、運営側の手間やコストを考えると、むしろこの予算でよくやっているな、という印象であるが……(この国際会議の特殊事情としては、言語系と工学系の両方の人が来る国際会議で、言語系の人は自腹のこともあるので、参加費をたくさんとって豪華にする、というのも難しいだろう)

午後はポスター発表の時間、うちの研究室の博士後期課程を受けたいと言っていた香港の学生がいたので、香港に来る前に時間を調整し、少し時間を取って会ってみた。本人はかなりうちの研究室について調べてくれたりしていたし、研究もしっかりできるようなのだが、家庭の事情など別の理由であまり来る可能性が高くなさそう(最近はだいたい予測できるようになってきた)。受験希望者に関しては、できるだけ話さないといけない人数を最小化したいのであるが、話してみないと分からないことが色々あるのである。

単に博士後期課程を受けるというだけなら別にいいのだが、奨学金などの調整をこちらでさんざんしたあと出願の直前になってから取り下げられるよりはマシなので、これはこれでよかった。過去に1回そういうことがあって、学部長に経緯を説明することになり、奨学金関係はメールでのやり取りだけで決めるのは最近はやめて、少なくとも Skype 等で一度話してみてからどうするかを判断することにしているのである(件の取り下げについては本人にも事前に想定していなかった状況があとで判明したので、直接会って話を聞いていたとしても、結局取り下げる以外どうしようもなかっただろうとは思うが)。

夕方はうちの卒業生が座長の口頭セッション。うちの研究室から初めて国際会議の発表があったのは PACLIC 2015 で、そのときも学生(当時 M2)が座長になっていた(その時は単独出張してもらったが)。今回は自分もいるということで、会場から質問がゼロだと座長が毎回質問をしたりするのは厳しいかなと思っていて、なんとかひたすら質問をしたりする。PACLIC は意図的に言語系と工学系の発表を同一セッションに混ぜ、交流を促しているそうで、言語系の話も含めてちゃんと発言するのは結構大変で、発表よりもこのセッションの方が緊張した。NAIST 時代、教授陣は分野外のどんな修論にも適切にコメントしていたのをすごいなと見ていたが、こういうあらゆる分野に対応できる能力をもっとつけておきたい。

夜は会場でふらふらしていて松本先生と雑談をしていたら、岡山大の竹内さんがご飯を食べに行きたいというので、それに合流させてもらった。初めて一緒にご飯を食べる方々ばかりでおもしろかったが、こうやって学会に参加してご飯を食べて親睦を深めるということの効用は、学生のころほどはないなぁ、と思ったりする。学生のころは、どんな会に行っても新鮮で、話していただいた話はためになったが、たぶんいまは自分が学生に対してそういう話をしてあげる側にならないといけない、ということなのかもしれない(松本先生は「あれ、学生たちと一緒に行かなくていいの?」とおっしゃっていて、自分的には学生とは日本でいつでも会えるので、特に一緒にご飯を食べる必要はないと思ったのだが)。