領域を超えて出会える会がいい

午前5時半に起きて授業資料の準備。今日は会議出席のために直接南大沢に出勤するが、移動中もひたすら作成し、なんとか間に合わせる。学内の e-learning システムで練習課題を出しているのだが、いつもこの登録をするための20分程度を捻出するのが難しく、事後登録になってしまっているのが申し訳ない。ただ、授業時間中に練習問題が解ける(授業時間内で授業に関することが完結する)のがいいのか、それとも授業時間外に練習問題を解く方がいいのか、どちらがいいのかなんとも言えない。授業にかける時間を最適化(最小化)したいという学生視点からいうと後者なのだろうが、内容を脳内に定着させるためには複数回やったほうがいいので前者のような気がするし。

お昼休みはカリキュラム関係の会議に出席。教職関係は知らないといけないことが多すぎる気がするのだが、これってローテーションで委員が変わったりすると引き継ぎが不能なのではないか、と少し心配になったりする。とはいえ、属人性が高くなってしまうと、その人が辞めた瞬間に立ちいかなくなってしまうのだろうけど(いま首都大の教職関係は、属人性の高い仕事を担当していた複数の教員が定年で退職したりして、いろいろ体制を立て直す必要があって議論しているが)。

昼からアルゴリズムの授業をしたあと、その足で成田へ。年に1回は海外に行けるように家族で相談しているのだが、今回はなかなか(地理的な問題と、時期的な問題で)行く機会がなく、PACLIC という香港開催の国際会議に参加することになったのである。在学生が2名ワークショップで発表、卒業生が3名本会議で発表、という体制で、投稿時には卒業生は教員が代理発表しないといけないかと思っていた(そのつもりで投稿した)のだが、結果的に全員自分で発表できるということで、行かなくても大丈夫だったのだが、せっかくなのでいろいろ調整して行くことにした(会議の1週間前まで、行けるかどうかドタキャンになる可能性もあったのだが)。

香港は乗り換えで空港に行ったことはあったが、空港から外に出るのは初めてだし、最後に海外の国際会議に参加したのは記録によると2015年の ACL-IJCNLP@北京が最後だった(COLING 2016 にも参加したが、大阪開催だった)ので、本当に最近はほとんど参加していないんだな〜と思ったりする(去年は Microsoft Research のイベントに参加するために台湾に行ったが、1泊2日の弾丸日程)。

PACLIC 自体は口頭発表の採択率が3割程度、それ以外はポスターで広く拾う(もともと言語学系の人と工学系の人の両方が参加して分野を超えた交流を目的としている)という方針だそうで、これまで投稿してきた経験からしても、感覚的にはだいたい口頭発表が IJCNLP のフルペーパー相当(ポスター発表は IJCNLP のショートペーパー相当)くらいの気持ちだろうか。トップカンファレンスではないが、ちゃんと理念やスコープもしっかりしているし、こうやって分野の交流に貢献しているし、いい会議だと思っている(トップカンファレンス以外は眼中にない人もいるだろうが)。

IJCNLP も、確かタイで開催されたとき(2011)に招待講演でいらしていた京大の石田先生が、自然言語処理はこういう必ずしもトップカンファレンスではない国際会議にも大御所の先生が来たり、そこそこいい論文が発表されたりするのは、自然言語処理のいいところですね、分野によってはトップカンファレンス以外は見向きもされないし、人も来てくれないので、健全な発展ができない、みたいにおっしゃっていたのが印象的で、いま深層学習界隈のブームで自然言語処理もそちらの流れに与するようになりつつあるのが、せっかくもともと言語系と工学系の両方の人が出会える学際的な分野だった長所が消えつつあって(情報系の他の分野からの流入がしやすくなり、実際に増えている、という観点からは、いいことなのだが)、残念に思っている。