サーベイのインセンティブを伸ばしたい

午前中はオフィスアワー。週に2回、合計3時間は時間を確保しているつもりだが、だいたい全部埋まっている。もう少し増やしてもいいのかもしれない(授業があるうちは厳しいが)。

お昼から1時間ほど ACL 2018 読み会だったが、EMNLP 2018 の論文を紹介してもらう。

  • John Lee and Yan Yeung. Personalizing Lexical Simplification. EMNLP 2018.

語彙平易化のパーソナライズに関する研究。語学学習支援の研究でも、学習者の類型化やパーソナライズは重要な課題だと思っているので、興味のあるトピック。ただ、中身を読んでいないのでなんとも言えないが、実験設定がよく分からなかったし、妥当な手法になっているのかも不明だった。

論文の読み方を身につけるトレーニングはどうすればいいのかなぁ、と思うのだが、トレーニングしてできるようになる人とそうでない人といるような気がしていて、能力の差であることは(英語能力によって読めないケースはあるが)ほとんどない一方、そもそも論文を読むことに興味がない人は相当時間をかけないと読めるようにならない(そしてその時間をかけるころには卒業する)ような気がしている。たとえば、論文を読んだり紹介したりするスキルを上げるには他の人の論文紹介を聞くのが一番の近道だと思うのだが、論文に興味がない人はそもそも自分以外の人の論文紹介を聞いていない(そもそも出席していないこともあるし、出席していても全く覚えていない)ことが多いのである(誤解のないように補足すると、それが悪いという話ではない)。

どうも、研究より企業との共同研究やインターンシップにとても強い興味がある人(普通に興味がある人はそうではない)は論文を読むことにあまりインセンティブを感じないようである。これは善し悪しの問題ではなく分野の性質の違いで、もともと自分もオープンソース開発出身だし、一般的にソフトウェウの開発に関して論文を読むことが必須であるとは全く思わないのだが(論文以外に知らないといけない知識の方がはるかに多い)、自然言語処理においては開発に当たっても論文を読む能力は完全に必須なので、どういう人でも論文を読めるようになってほしい。NAIST 時代含め研究室周辺ではまた見たことがないが、たぶん起業したいと思うような人も論文を読むことへのモチベーションが低いのだろうと予想するし、そういう人が自然言語処理の研究室にいてくれるのは分野としてはよいことで、かつ奨励したいと思うのだが、うちの研究室の環境だとそれがサポートできないので、苦しいところである。

夕方は国立国語研究所に移動して共同研究のミーティング。立川って近いようでいて遠いのだが、それでも都心に行くと一日仕事であることを考えると、学外の同じ分野の研究者の人たちと直接交流できる機会は本当に貴重である。