じっくりと話をすると癒される

今日と明日、言語処理学会第24回年次大会に参加するため、一路岡山へ。家族会議での審議結果としては1泊2日までの参加が可能で、本会議の初日と2日目に子連れで参加することを提案したが、卒園遠足と卒園式の間の週なので、大事を取って単身の出張にしたので、本会議の3日目とワークショップという2日になったのであった。

岡山ではまず NLP パパ会に参加。総勢7名で、0歳から3〜4歳くらいまでの子どもの父が集まって、父親あるある体験を共有したり、こうしたらいいという知見を伝承したり。自分は保育園では下の子の父なのだが、NLP パパ会では上の子の父のようで意外だった。しかし割と昔の大変だったことは忘れていて、あまり大変ではなかったと美化されていて、よろしくなかった(汗)

午後のセッションは招待講演から参加。[twitter:@kaleidotheater] さんによる「理論言語学自然言語処理と」というトークである。組合せ範疇文法のような理論を用いた自然言語処理の研究、やってみたいと思いつつ幾星霜。学部時代に言語情報科学の授業で toy grammar を書いたのが最初で、NLP チュートリアルで shift reduce な構文解析器を書いたのが最後な気がする。深層学習の勉強を週末の手習いにしている、という話をお聞きして、いや自分も忙しいのを理由にしてはいけないな、と思ったりする……。

空いた時間に [twitter:@aonotas] くんと立ち話というか座り話をする。自然言語処理の裾野を広げたい、独学でもやりたいという人が参加できるようにしたい、というビジョンを共有してもらえて、思わず自分の考えていること、やってきたこと、やろうとしたこと、やらなかったこと、そしてそれぞれから得られた教訓などをお話ししたりする。自分はもう若手という歳ではなくなってきて、中堅的な立ち回りになってきたのだが、自分が若手のときにいろいろかわいがってくださった方々から教わったことを、少しずつでも還元していきたい。

クロージングはうちの研究室の [twitter:@yukio_0326] くんが若手奨励賞を受賞していたので、参加。

去年、彼はノミネートだけで表彰されなかった(うちの研究室からは、別の学生が受賞した)ので、今年はもらえてよかった。東北大学乾研究室からは4件若手奨励賞(1件優秀研究賞)の受賞者がいてびっくりしたが、発表も27件あり、圧倒的である。うちは10件の発表に対して1件の受賞なので、毎年2件くらい出せるといいのだが(NAIST 松本研は17件の発表に対し、若手奨励賞が2件)。うちの研究室からなんだかんだと3年連続若手奨励賞を受賞する学生を出すことができたので、そろそろ若手奨励賞ではなく(最)優秀発表賞を取りに行きたいところ。

最近分かってきたのは、研究は最初に何を解くのか、次にどう解くのかを決める部分がもっとも重要で、そこで8割くらい研究の良し悪しが決まってしまうので、先を考えていたらダメなものはすぐ見切りをつけて別のアイデアに行った方がいいのでは、ということ。裏を返すと、いいアイデアが見つかるまでは下手なアイデアに飛びつかず、じっと待つことも大事ということである。実は今回の若手奨励賞の研究も、アイデア自体は夏休み前から出ていて、12月前後には実験結果が出ていたのだが、投稿しても良さそうな結果になったのは、投稿の前日か前々日なのである。1ヶ月以上、想定とは異なる実験結果を見ていたのだが、予想と違うこの結果は確実に何か意味がある、と粘って粘って実験を続けていたので、そういう粘り強さも大事だと思っている。

夜は [twitter:@overlast] さんとサシでご飯を食べ、ここ半年ほどの悩みについて、いろいろ話したりする。全く気がつかなかったアドバイスをいただいたりして、大変有益であった。最近、人が多いところに行くのは気後れするので、こうやって小さなグループで話せるのはありがたいことである。

ホテルに着いたら娘から Facetime で電話があり、泣きじゃくっている。「今日はパパ帰ってこないの? パパいないけど、我慢するよ。明日帰ってきて。」と号泣している。ちゃんと説明して納得してもらって出かけてきたのだが、心が痛い……。