独り立ちしたような気がしていたが

今日も休み時間がない日で、朝からアルゴリズムの授業。最近見た夢で、なぜか自分のこの授業を現役エンジニアの人が学部生に混じって受けていて、「雑談多いし、内容はこんなに初歩的なことしかやらないの」と言われる、という責め苦があった(汗)のだが、実際に受けている B2 の学生たちに聞いてみると、今年は結構難しいと思っているようである。去年は全然ダメな数人がいるだけで、残りはほとんど4と5がつくようなくらいできていたので、今年は1.3倍くらい難しくした(5をつけていい割合に上限があるため)のだが、逆効果だったのだろうか。研究室の学生にも聞いたら「学年にもよって、コミュ力が高くて優秀な学生がいる学年は全体的によくできる」ということだったのだが、そういうことだろうか……。

お昼休みは学部3年生から進路相談を受ける。大学受験までは理系だったが実際に入った学部は文系だった、というケースで、大学院では理転(人工知能関係)したい、という相談である。自分自身、大学受験の数学は理系のコースの数学にも出ていたし、過去問を解くときも理系の過去問も解いていたので、そういうような人は大学院で理転してもそんなに困らないと思うのだが(いや、最初は苦労したが……)、それよりは理工系の「研究室」という文化が人文系の学生の想像をはるかに超えるものなので、行く先の研究室の教員や学生との相性を考えた方がいい、という話をしたりする。

人文系の感覚だと、研究室というのは週に1-2日集まって研究の話と輪読をする(座席は研究室にはなく、自宅や図書館など各自見つけてやる)、というものだろうが、理工系だと「コアタイム」のある研究室も珍しくないほど、基本的に平日は毎日研究室に来る前提で研究するし、研究室には座席があるので、かなり違う趣である。もちろん、理論系の研究室など、研究していれば特に研究室に来なくてもいいというポリシーの研究室もある。ちなみに、うちの研究室は、最初の半年は基本的に平日は毎日研究室に来るようなスタイルで来てもらっているが、それ以降1年経過するごとに研究室に来る日数を1日ずつ減らしている。M1後期からは週3、M2後期からは週2でいい、というわけである。研究室3年目にもなれば、他人の研究も教員の代わりにちゃんと指導できるくらいの知識があるし、自分の研究はどこにいてもできる(他の人にすぐ聞かないと進まない、というような知識レベルではない)ようである。

その後、お昼ご飯を食べる間もなく次の来客。[twitter:@kojiando] 先生も合流されて、久しぶりの「最近グッと来ることなんかある?」の洗礼を受ける(笑)人のつながりは大事だなぁと思ったりする。

午後は理研 AIP の松本グループのお話をお聞きしたりする。自然言語処理関係は他には乾グループ、関根グループがあり、それぞれ独自性があるが、松本グループはこんなこともやっているのかー、と思ったりする。最近自分の研究室での興味は(ニューラル)言語生成にあり、松本先生はあまり言語生成は好きじゃない(対話とか翻訳とか要約とか、やりたいという学生を止めはしないが、積極的にサポートもしないし、うまく要素技術の研究に誘導する)ので、松本研ではこういうテーマはやらないだろうな。自分はもともと機械翻訳の研究がしたくて(あと日本語入力の開発がしたくて)自然言語処理の門を叩いたので、むしろ言語生成をやりたい派なのである。

NAIST にいたときはどうしても松本研の研究の色がついていた(それ自体は悪いことではない)が、首都大に来てから着手した研究、特にここ2年ほど取り組んでいる言語生成(ニューラル機械翻訳、対話、文書要約)の研究は、松本研だったらやっていなかったであろうテーマなので、ようやく研究的に独り立ちしたかなと思っている(NAIST を離れてから、1年目だけ NAIST 時代の研究の発表があったし、1年間だけ基盤Aの分担者に入れていただいていたが、それ以降松本先生とは共著も共同研究もない)。

夕方は国際会議の発表練習をしたが、もっと練習に時間を使わないと、国際会議水準の発表ができないのでは、と思ったりする。もっと海外のインターンシップに行く学生を増やしたりすべきか……。

夜は保育園の父飲み会。ゲスト(?)として、卒園児(中2)が参加。早稲田大学高等学院、高校だけしかないと思っていたら、2010年から中学も開設していたのか。中学受験状況は時代と地域で全然違うので、最近の状況を聞いたりして「なるほどー」と思ったりする。自分自身、中学入試は小学6年生の10月からしかちゃんと塾に通っていないので、あまり熱心に塾に通わせたくはないのだが、10年後の状況はどうなんだろうなぁ。