意識して上げていきたい生産性

記録が残っていないので何をしたのか不明な1日である。

最近読んだ伊賀泰代「生産性」という本がよかった。ここ1年くらい読んだ実用書の中ではベストである。前読んだ「採用基準」もいい本だった。

生産性

生産性

いま子育てをしていたり1人で研究室を運営していたりしていて重要なのは、自分の時間あたりの仕事の効率を上げることであり、そこで大事なのが「生産性」という概念である。

昨年度は例えば20人を超える人がうちの研究室を受けたいと連絡をくれて、それはそれで嬉しかったのだが、結局入学した学生は3人で、優秀な学生ほど(自分がそう勧めているせいもあるけど)他大学に行ってしまうので、どんどん疲弊するのである。著者によると、ほしい学生数が3人なら、来てほしいかつ来てくれる3人ちょうどに応募してもらうのがもっとも効率が良い、ということで、激しく納得である。図らずもうちの研究室も原則として博士後期課程に進学したい人しか出願を認めない、などという方針を打ち出すことで、問い合わせが来てほしいかつ来てくれる人数に漸近しつつあると感じるのだが、何でもかんでも多ければいいものではない、というのは全くその通りである(なぜ拡大路線が非効率か、というのがよく分かった)。

時間のログを取ってボトルネックを可視化するとか、テンプレート化して共通にできるところは共通にして(グループ内で共有して)効率を上げるとか、自分も助教や准教授になってからは必要に迫られてやってきたことが割とまとまっていて、なるほどな〜と思ったりする。結局家事・育児を夫婦で分担すると生産性を上げないと何もできないので、長時間労働に行かない方向の働き方を実現するにはどうしたらいいか、というのがなんとなく分かった。

あと新谷学「『週間文春』編集長の仕事術」もまあまあおもしろかった。

「週刊文春」編集長の仕事術

「週刊文春」編集長の仕事術

こちらはベッキーの件で有名になったいわゆる「文春砲」の裏側の話だが、「編集長」という仕事の裏側が知れてよかった。大学のときは飽きるほど遊ぶ、働き始めたら朝から晩までモーレツに働く、みたいな体育会系文化みなぎる職場のようで、自分は高校生から学部生のころはこういう雑誌の編集長か新聞のデスクになりたかったのだが、高校生の時分にこういう本を見ていたら考えが変わっていたであろう(多分、なりたいと思わなくなっただろう)。

スクープを連発するような職場にするにはどうするか、というリーダー論(マネジメント論?)的な話も論文を書くのと通じるので「なるほど」と思うところはあったが、そもそもの働き方が違うので自分が目指したいような組織とは違い、まあそういう風にしたかったらそうだよね、と思ったりする。

そう思うと今の職場や働き方は結果的に自分にとても合っていて、ありがたいことである。