参加して初めて分かる相場観

自然言語処理のメジャー国際会議、COLING の本会議初日。自分は今日で離脱するが、本会議自体が4日間あるので、本会議に参加する人はここからが本番である。

朝起きて、座長に当たっているセッションの論文を眺めたりする。最初は木曜日のセッションの座長を頼まれたのだが、火曜日までしかいませんよ、とお返事をしたところ、火曜日のセッションを再度依頼されたのである。「この1週間、座長の調整しかしていない」というぼやきのメールをプログラム委員長の松本先生からいただいたのだが、40セッションくらいあるので無茶苦茶大変そうである(言語処理学会年次大会の座長依頼も、自分がプログラム編成担当だった2年間、結構大変だったし、国際会議だと誰が来るかもより分からないだろうし)。

座長のセッションではうちの研究室の [twitter:@gttmy2] くんが学生ボランティアで入っていた。実は今回の COLING は参加費が馬鹿にならなかったので(学生価格でも64,000円)、発表者(6人)以外の聴講参加者の場合、参加費が無料となる学生ボランティアのできる人は手を挙げてもらったのだが、結局学生ボランティアに選ばれたのは(発表者を除いた15人中)4名のみだったようである。TOEIC 730点程度は必要、という要件が厳しかったのだろうが、大学院生なら半分くらいはこの程度の英語力はクリアしてほしいものである。

本会議初日のセッションを色々聞いて回ったりしたところ、割合興味深い研究もあるのだが、ニューラルな手法を用いた話は総じておもしろくなかった(ワークショップの議論の方が有益だった)。ニューラルな手法の研究自体は自分は否定的ではなく、やってみると色々おもしろいことも分かるので楽しんでいるのだが、とりあえず(特に何か言語(学)的な直観があってそうしたわけではなく、他の人が別の分野で提案しているものを)色々試してうまく行ったものを報告しています、みたいな感じで、話を聞いても腑に落ちない(そこからあまり学べない)というか……。

多分ニューラルな手法を用いた研究のうち、おもしろいものは ACL/NAACL/EMNLP などのトップ国際会議で発表され、もっと研究の多様性や言語学的知見を大事にする COLING にはあまり来なかったということだろうが(それはとてもよいことで、自分的には COLING が一番好きな国際会議でもあるのだが)、年に1回くらいは ACL/NAACL/EMNLP クラスの国際会議に参加しないと、トップカンファレンスの相場観が分からなくなってしまう気がした(プログラム委員として査読をしていると、まだ雰囲気は分かるが、どうしても熱気までは伝わらない)。まあ、猫も杓子もニューラルな発表ばかりというのもどうかとは思うし、出張に制約がかかる育児中はそもそもジャーナルを主戦場とすべきなのかもしれない。

今育児中なので国内でも海外でも2泊3日の出張が限度なのだが、来年は EMNLP(コペンハーゲン)には参加できなさそうなので、ACLバンクーバー)には参加したいのだが、さすがに本会議が1日だけだと寂しいので、2日間は参加したいな〜(曜日的には月〜水のようなので、多分月火が参加できそう)。しかし7月の NL 研を離島開催にしたいという声があり、そこで貴重な1泊を使ってしまうと、同じ7月に2泊3日も危うくなってしまう危険性が……。(離島に日帰りはさすがに厳しい)