合宿で出会った縁は続くもの

もうどうにも終わらないので午前2時に起き、メール処理と査読。南大沢に行く日は車を運転するためあまり睡眠不足になることは避け、前日は午後9時に寝かせてもらったが、寒暖の差もあるので体力的に厳しい。

投稿した3倍の数は読まないと、と思うのだが、最近はそれも難しいので毎回アサインされる論文の量を減らすお願いをして、投稿した数と同数くらいにしてもらって、ギリギリくらい(それでも第二査読者をお願いしたり)。いつかこの綱渡りが報われるときが来るのだろうか(仕事を期限内にできず、信用を失うことの方が重大な問題のだけど)……。

今日は情報通信特別講義の2日目。[twitter:@nishio] さん、@takesako さんというお2人を迎えたのが今年の特徴だが、その心としては、この講義の非常勤講師のアレンジを仰せつかったとき、最初は自然言語処理関係の人を中心にお願いしていたのだが、どうも(というか、当たり前だが)学部1年生は自然言語処理という分野に興味があって入学してくるわけではなく、そもそもプログラミングもほとんど知らないまま来る人の方が圧倒的多数なので、自然言語処理というよりは、もっとプログラミングそのものに興味を持ってもらうほうがいいのでは? と思ったのである。

そのため、少しずつ情報科学若手の会(情報処理学会プログラミングシンポジウム、通称プロシンの若手の会)関係を中心に非常勤講師の方をシフトし、大学に入学したばかりの人たちに刺激を与えよう、ということを狙っている。(ちなみに、NLP 若手の会を合宿形式にしたのは、合宿形式の情報科学若手の会がそれはそれは楽しく盛り上がったので、それを自然言語処理に持ち込もう、と思って自分が委員長のときに実現したのである)

4年目にして思うのは、学部1年生というのは大学1年生というより高校4年生で、まだまだ高校までの考え方が抜けないので、早く「ここから先は、高校までの標準化された思考回路や画一的な価値観だけじゃなく、いろんなことがありますよ」ということを認識してもらえると、残りの期間を有効に使えるかなと思っている(特に学部1-2年生は、アルバイトに精を出さなければいろいろできるはず)。

今回は [twitter:@takesako] さんにお願いしたところ、ご自身の半生を振り返りながら、ゲームを作るデモをしていただいたり、プログラミングでこんなこともできるのか、ということを見せていただいたりして、1年生にはかなり強烈に印象づけることができたかな? と思った。高専生ならこれで奮起する気がするが、うちの学生はどうだろうなー? ともあれ、すぐに効果が出るものとは思っておらず、大学院に進学する前後あたりに効果が見られると考えているので、3-4年後が楽しみである。ちなみに、自分がこの講義を担当することになって初めての学生が現在3年生で、今年の研究室配属希望は1年生からフルで面倒を見ている学生が入ってくる。

やはりゲームを作りたいという学生が多いのでゲームに関する話は食いつきがいいのだが、ゲーム好きだからゲームに、というのも大学の授業としてはちょっと短絡的なので、いいところに落ち着けたらいいなと思う(@takesako さんは、機械学習の話をしてくださって、数学や英語がとても大事、という話をしてくださったので、ありがたかった)。結局のところ、学生のほとんどはゲーム関連の仕事には就かないし……(言い換えると、数年経つと現実を知る、ということだろうが)。

最後は例年通り @overlast さんによる大団円。うちの研究室の学生も B1 のときには基本的に聞いていないため、他にインターンシップなどの用事がない人には出てもらっているのだが、B1 で聞いたらいいのかと思って質問してみたら「B4 になって聞いて分かることも多いので、B1 で聞いてももう一回 B4 で聞いてもいいと思います」ということで、確かにそうだなあと思ったりする。自分も予備校に通っていたとき、現役のとき受けた授業を浪人してももう一度受けたりして、知っていることも多いのだが忘れていることもあったり、雑談を楽しむ余裕や別の解答を思いついたりして、それはそれでかなり役に立ったと思うし、研究室内の基礎勉強会も1回は受講生として、1回は TA としてやってもらうのと同様、2回聞いてもらうとちょうどいいのかもしれない。

講義の終了後、聴講に来ていた [twitter:@shirayu] くんも誘って [twitter:@overlast] さんとうちの研究室のメンバーとで懇親会。5時にならないと居酒屋が開かないという毎年の既知の問題があったが(もう少しエアコンのかかっている教室にいてもよかったような)、開くのを待って入店。@shirayu くんの転職先は自分の学部時代とのつながりがあったり、不思議な出会いもあるもので、よい会であった。NAIST を離れて少しずつオープンソース開発をしていたころの自分に近づいてきている気がするし(東京にいたころは自然言語処理しておらず、自然言語処理はずっと奈良でやっていたので当然かもしれないが)、大学にいる身としてこれから10年どう過ごすべきか、ということを少し考えたりする(とりあえず2-3年のスパンでは、目の前の仕事をとにかくこなすだけだが)。