認証でないとできないこともある

午前中は保育園の運営会議。現在は都の認証保育園なのだが、認証保育園という制度もいつまであるか分からないし、この保育園をずっと続けていくためにどうすればいいか、ということを議論する会。自分は運営委員ではないのだが、どうせ土曜日は妻もいないので家にいても暇だし、オブザーバーとして参加したのである。

保育園に詳しくない人(自分も娘が生まれるまで知らなかった)に補足すると、保育園には国の決めた基準を満たした認可保育園とそうでない無認可保育園があり、認可の有無で補助金が違ったりするのだ。無認可保育園の中には、都の決めた基準を満たした認証保育園というのがあり、こちらも認証の有無で補助金が違う。認証保育園は、国の基準は満たしていないが都の基準は満たしているので、「無認可」という単語から受けるようなネガティブな印象はないが、この都レベルの「認証」という制度自体がいつまで続くか分からない(過去同様の制度が廃止になったことがある)、という話である。

いろいろ経緯はあるだろうが、自分はこの保育園を昔から知っているので、むしろよく40年続いた、と思っていたのだが、経理担当の人から説明があり、認証保育園の制度が突然なくなっても少なくとも10年は突然つぶれたりするような感じではなく、びっくりした(自分以外の参加者も、現役OBOG含めてびっくりしていたが)。子どもが少ないと経営的に厳しいようだが、希望者が少ないわけではなく、保育者が確保できないと子どもが増やせないので、ボトルネックは保育者の確保のようである(保育者はここ数ヶ月20代の人が3人加わったが、それ以外の人はみんな30-40歳くらいのベテランばかりの園で、勤続年数も10年以上の長い人たちばかりなので、新人さんが来にくいみたい?)。こればかりは仕方ない。

長期的には社会福祉法人にすることを目指すようだが、そんなにメリットがあるとも思えないし(補助金に申請できることはプラスだが)、いまの運営を考えると、監査を受けるとかいろいろ手間が増えることのデメリットのほうが大きいんじゃないかなぁ……。

それに関連して、「ルポ 保育崩壊」を読む。

ルポ 保育崩壊 (岩波新書)

ルポ 保育崩壊 (岩波新書)

以前読んだ「子育て」という政治よりは中立的な立場の本だが、これも定性的な記述が多く(統計もないわけではないが)、煽っている感が否めない。新聞記者出身だと、どうしてもエピソード重視になってしまうのだろうか?

個人的に有益だった情報は、最近展開している公設民営型の保育園に関する実態で、保育者の人件費率が民設民営とも公設民営とも比べても際立って低い、という話で、本当にこんな水準では保育士になる人がいなくなるのでは?と思うし、株式会社で保育園の運営している最大手のアスクグループでは、1年間で全ての保育者が入れ替わったりしたことまである、という事例を読むと、全国展開する株式会社に委託するのはいかがなものかと思う。

娘のために保育園を見学して回ったときも、株式会社が運営している保育園2園は「ここしか行くところがなかったらどうしよう」と本気で心配したくらいのところだったので、「保育崩壊」に書かれている内容を見ても、ああいう園ならこんな対応されてもおかしくないな、と思ったりする。

公設公営の保育園の保育士は公務員なので年収500-600万くらいで、公設民営の保育士は年収200-300万くらいらしい。個人的には保育者が(公務員でなくても)年収400万くらいもらえるような方策を考える方が長期的に望ましいと思うのだが、どうやればそういう世の中になるんだろうか……。