適材適所のハッカソン

連日朝から外回り。午前中はデザテクハッカソンというのに呼ばれて渋谷の VOYAGE GROUP へ。元々は首都大生を対象にして、インダストリアルアートの学生と情報通信システムの学生を中心に日野キャンパスでやると聞いていたのだが、会場が渋谷になったりスポンサーがついたり(商品が出たり、懇親会代をカンパしたり)、それっぽい感じのハッカソンになったようだ。

このハッカソンとしては、事前にグループ分けが発表されるので、何を作るかのアイデア出しは当日までにしておいて、当日は9時から19時までひたすら作る、というもの。お題は「東京都の抱える課題を解決する」というもので、審査委員には評価項目が伝えられるので、それに従って最後に採点と講評をすればよいそうだ。

冒頭でスポンサーの方々のトークがあったり。サポーターズという会社の方が、NAISTまでよく行っている、という話だったので、トークのあと話に行くと、[twitter:@sorami] くんや[twitter:@kensuke3238] くんの知り合いだったようで、意外なつながりにびっくり。NAISTに行くときはいつもゲストハウスせんたんを使われているそうで、これはNAISTマニアである(笑)

結局学部1-2年生だと仕事をするってどんなことだとか、想像もつかない人が多いのかもしれないが、こうやって楽しそうに仕事をしている人が話をしてくれるのは、よい企画である。(NLP若手の会シンポジウムや情報科学若手の会でも、社会人の人がけっこう参加してくれて、仕事の話をしてくれたりするのはとてもよいと思う。ときどき、会社の方針でかわいそうなことになっている人の話を聞いたりすることもあるが、それも含めて学生としては参考になるだろう)

午後は一時抜けて東京タワー下まで。電子情報通信学会の学会誌(D)の編集委員会である。人数が少ないとテキパキと進んでよい。しかし引き継ぎに次ぐ引き継ぎで、少々心許ない。とはいえ、任期2年でやっていくので、1年経てばだいたい感じが分かってくるのだろう。しかし、そのころはもう満了してしまうし、仕事の量を2/3にして3年でやるとか任期4年にするとかしないと、組織を維持するためのオーバーヘッドが大きい気がする。情報処理学会は任期4年にしたそうで、人工知能学会も任期は1期2年だがデフォルトは2期やるそうだし、それくらいやったほうがいいんじゃないかな?(もちろん、勝手知ったる人がいなくても回るような仕組みにしておく、というのも重要なのだろうけど)

夕方、また渋谷に戻ってきてハッカソンの報告会。ゲームを作るチームあり、アプリを作るチームあり、いろいろあって楽しめた。やはりソーシャルな要素を入れているアプリのほうがおもしろい。開発時間が短いので、最後までできたチームがなかったのは仕方ないが、こういう瞬発力が求められるハッカソンは、時間をかけて何かを作る、というのとは別の能力が必要である。

今回情報通信システムの学生があまり参加しなかったようだが、アルゴリズムとかチーム開発とか割とどうでもよく、とにかく見栄え(デモ受け)するアプリを企画できれば(開発できる必要はない)高く評価される、というのは、情報通信システムの学生にとってはちょっと適切ではないように思う。情報通信システムの学生は、実際に社会の役に立つアプリやサービスをコツコツと改善するのに向いていて、こういう一発のコンテストにはそぐわない。むしろ、「東京都の課題を解決する」という題を出しておきながら、本当に課題を解決するようなサービスやアプリがほしいわけではなく(ランダムに結成された学生メンバーで1日で作るのはそもそも無理か?)、ネタとしておもしろいものがいいなら、情報通信システムの学生が来なかったのは、みんな正しく考える力があった、ということだろう。こういう趣旨のイベントに参加するくらいなら、まだプログラミングコンテストに参加したほうがいいのではなかろうか?

ただ、こういう企画が完全に(首都大の)学生主導・学生中心に運営されているのはすばらしいし、情報通信システム以外の学生にとってはとてもよい経験につながっているのであろうし、どんどんやってもらいたい。

個人的に参加してとてもよかったのは、報告会のとき[twitter:@hwtnv] さんと隣でいろいろお話しをお聞きしたり、コメントを聞いたりできたこと。翌日のSDフォーラム(首都大の日野キャンパスで毎年10月に開催されている、研究紹介を中心とするイベント)に向けてご自身で(!)作り込んだデモを見せてくださったり、学生に建設的・教育的なコメントをされたり、教員の鑑だなと思った(正確には、何かの鑑だと思うが、研究者というのも違うし、エンジニアというのも変だし、クリエイターというのも収まりが悪いし、作るという姿を学生に見せることで勇気づける、というのは、やはり教員かなと思ったのであった)。

自分は何をする姿を見せればいいのかよく分からないが、とりあえず子育てをしながら仕事(大学教員)をする、という姿を見せようと思う(他にもやってらっしゃる方はたくさんいらっしゃるので、別に自分だけががんばっているわけではないし、自分は妻にものすごく助けられているので、家事育児と大学の仕事を全く十分にできているわけではないが)。