研究するには研究している人と話すのが近道

いつものように午前中はメールの処理をしたり、卒論に赤を入れたり。

最近まで区別がよく分かっていなかったが、首都大の情報通信の卒論・修論には2つあって、広義の卒論・修論は卒業研究の発表会(60秒の口頭のブースターセッションと60分のポスターセッション)・修士論文の発表会(20分の口頭発表と10分の質疑応答)の予稿のことを指し、2カラムで2pか4p。狭義の卒論・修論はフリーフォーマットで枚数制限がないものだそうだ。

NAISTでは前者が存在しなかったのだが、確かに審査する側はどっさり卒論・修論を渡されても困るので、予稿があるのは助かる。学生に少し労力を割いてもらうことで、聞く人(主に教員だが、発表会には誰が参加してもよい)が楽になる、という寸法である。学部生はともかく、修士の学生は対外発表を1回することが修士論文を提出する要件なので、予稿に相当するものは確実に提出できるはずで、論文本体とは別に予稿を出させるのはよいシステムだと思った。

昼から卒研のポスター発表練習。最近発表練習のあと自分がすぐコメントを言うのはよくない(学生が自分で質問したりコメントしたりしないと、アウトプットする能力がつかない)と思い、学生たちに先に言ってもらうようにしている。ついつい先に言ってしまうことも多いのだが、先に言ってもらうとちゃんとコメントしているので、元々そういう力があるのか、聞いているうちに身に付いたのか分からないが、嬉しいことである。

もし後者だとすると、研究室内部でというより、研究をしている周りの研究室の同期と話す(言われることもあれば、言うこともある)のが一番利いている気がする。結局研究できるようになるためには、サーベイし、実装して、論文を書いている、つまり研究をしている人と話さないと難しく、申し訳ないことに今年度は研究室内部でそういう環境をなかなか作ってあげられなかったのである。

今年1年でだいぶ試行錯誤したので、来年は改善されると思う。ケースバイケースだと思うが、「何をしてはいけないか」というのはやってみるまで思い知ることができないので、時間をかけるしかないな〜(ただ、それを乗り越えればかなり力がついている)

午後はアルゴリズム演習の添削。これで本年度の添削は全部終了。長かった……。ただ、うちの学生がどれくらいプログラミングができるか分かったし、やってよかった。添削の負荷もさることながら、他の授業との兼ね合いを考えると、〆切までに完成できる人が半分くらいだったので、演習の量はもう少し少なくてもいいかな、と思ったりする。(時間の問題ではないかもしれないが)

夕方は会計処理。年度末が近づいているので、何を買うのかリストアップしたり、残額を確認したり。来年度は学生の数が増えるので、本気で研究費を獲得に行かないとまずいかもしれない(本当に大変なのは来年度ではなく、学生が国際会議に行くようになるであろうさ来年度だと思うが)。共同研究も募集中。

夜は副査になっている修士論文のチェック。うちは1カラムで30-60ページ書くもののようで、修士論文としては標準的な分量だと思うが、基本的に分野が異なるのでコメントしづらいものがある(恐らく自分の研究分野にもっとも近いのは I 川研究室だが、今年度できたばかりなので修士の学生はいない)。ただ、こういう状況でも本質的なコメントができるのが実力だと思うので、計算機科学の基礎知識をちゃんと身に付けたいと思うのであった。