35歳までに研究者四段になりたい

連休中リフレッシュしたので、久しぶりに研究室の仕事。

3年前書いたコード、一致するはずの数字が一致しないということでハラハラするが、なんとか最後には一致。思えば昔からバグを潰すのは好きだった。革新的なことをするより「カイゼン」が好き、というか。

「35歳までに読むキャリアの教科書」を読む。

内容自体あまり共感も同意もできない感じだが、登場する人登場する人何回か転職する割に、ジョブホッパー(すぐに転職を繰り返しひとつのところに留まることができない人)にならないためにどうすればいいか、というところは参考になる。

あと、内発的な動機で仕事すると満足できるとあるが、そのリトマス紙となる質問は「いま10億円持っていてもなお、その仕事をやるか?」あるいは「1円の稼ぎにもならないが、その仕事をやるか?」というものだそうで、確かにいま自分は10億円持っていても全然生活変わらないだろうな、という確信がある (せいぜい妻をもっといい場所に住まわせてあげたいと思うくらい)。基本的にいまの仕事にも職場にも不満はないし、お金の問題じゃないなぁと思うのだ。

id:ny23 さんも某社から誠実なお誘いということでいろいろ仕事について書かれているが、自分も多いに共感。人生タイミングは非常に大事で、このタイミングだからちょうど滑り込めた、逆にこのタイミングだったから行けなかった、というのはよくあることだし、一度チャンスを逃すとなかなか次のチャンスは回ってこないものである。最近好んで紹介している言葉に

Chance favors the prepared mind.

というものがあるのだが、常日頃からいつお声がかかってもいいように (直近のためだけに準備するのではなく、地道にかつ着実に) 努力しておくと、「偶然」が味方してくれることがよくあるのだ。

最近自分の専門分野の研究所を立ち上げた某社は,研究所のトップの人が直に面談して回っているという話を聞いた.多分良い研究所になるだろう

というのも同感で、よい研究所になってほしいなと思っている。(いま学部生の人が大学院にいる間くらいはインターンシップもやってくれたらなと思う)

あと、年齢に関してコメントすると、少し前の記事になるがある程度の年齢を迎えたプログラマが抱える悩みを読んではたと考えさせられる。あるいはリンク先の研究と研究マネジメント。自分も大学院に入ったばかりのころは「助教授・教授くらいになると(日本の大学では)自分で論文書かなくなるし、コードも書かなくなるし、なんかいまいちだなぁ」と思っていたのだが、自分が「中間管理職」の立場になってなんとなく両方の気持ちが分かるようになってきた。もっと前線で研究したかったら企業の研究所に行ったほうがよかっただろうな、と思う。

id:takehikom さんのブログ 研究者の段位 で知ったのだが、「大学教員準備講座」

大学教員準備講座 (高等教育シリーズ)

大学教員準備講座 (高等教育シリーズ)

に書かれている「研究者の段位」に自分も「なるほどなぁ」と思う。(孫引きだけど) 

初段:与えられたテーマで実験して結果を出せること
二段:自らテーマをみつけ仮説を立てられること
三段:自分の名前で研究費を獲得できること
四段:独創的な研究を着手遂行できること
五段:研究領域で不可欠な人材となること
六段:研究領域を代表して組織を率いること
七段:独自の研究領域を提案し予算枠を獲得できること
八段:国家の科学技術基本政策を策定遂行できること
――
出所:入来篤史(2004)『研究者人生双六講義 (岩波科学ライブラリー 96)』岩波書店,p. 15.

自分はまだ二段と三段の間かな…… (初段=修士の修了ライン、二段=博士の修了ライン)。目標は40歳で五段くらいか。精進あるのみ。

NAISTだと助教はほとんど授業はないのでこの本の半分くらいのところは「ふーん」という感じだったが、大学教員になる人、なった人、なりたい人は買って損はないかな? Amazon には在庫がなかったので bk1 で注文したら3週間くらいして入荷してくれたが、現在は Amazon にも在庫があるらしい。