構文解析と自然言語処理

今日は紹介。@unnonounoさんがブログで構文解析と情報科学あと構文解析が何の役に立つのかというエントリを書かれている。両方とも自然言語処理の基礎知識がないと書かれていることがよく分からないかもしれないが、重要な話題である。

たぶん自然言語処理の研究者がやるべきなのは「こういう分野ではこういう問題があって、実際とても大きな問題ですね。でも、こうやって自然言語処理のテクニックを使えばその問題は解決できますよ」という道筋を示すことであって、「自然言語処理分野の中で問題とされているテーマ」というのと、一つメタなレベルで「世の中で問題とされているテーマ」というのが時にあまり一致しないことがこの分野の弱点なのではないかと思う。それがあまり進まないのは、自分の研究分野以外にあまり研究者が出ていかないからだろうが、ある意味それは正しい(出て行っても業績的には評価されないし)ので、ジレンマである。(まあ、こんな話はさんざんあり、みんな問題意識はあるのに変わらないということは、うまく行かない理由もあるのだろうが)

さらに言うと、「自然言語処理の中で問題とされているテーマ」をやっているならまだ良心的で、ひどい場合は「自然言語処理の中でも問題とされないテーマ(を新しい問題であるから言い張ってやる)」こともあって、新しくても意味のある問題をやらないといけないのでは、と思う。

研究の場でも開発の場でも「新しくて意味があるテーマ」をやれるのが一番エキサイティングなのだろうが、それぞれ評価尺度として「新規性」「重要性」が直交する概念として存在するので、余程意識しないと「新しいが意味のないテーマ」もしくは「意味はあるが使い古されたテーマ」になりがちということなのかなと思う。開発の場で「二番煎じでも、役に立つならいい」という話と同程度に、研究の場では「役に立たなくても新規性があればいい」という話なのだろうし、スタンスの違いなだけで、どちらが悪いという話でもないのだろうけど。