プロフェッショナルとは、このことだったらこの人に聞きたいと思わせるような人

今日見たプロフェッショナル仕事の流儀 考古学者 杉山三郎がことのほかおもしろかった。

メキシコのテオティワカンという遺跡の発掘に30年関わってきた人なのだが、実は元々希望する大学に入れず、第二志望でしかも希望していない経済学部に入ってしまい、留年を繰り返してやりたことを探してぼーっとしていたのだが、あるとき友人に誘われて始めた発掘のアルバイトで、これが楽しいと目覚めて、そこから一筋にやってきた、という話。その後考古学に関わりたいと思ったので、それに関する本を読みあさったら、メキシコの遺跡に魅せられて、大学を卒業したら遺跡に押しかけて最初は無給の作業員から始め、徐々に大きなプロジェクトに関係することになったとか。

ただ、いくら大きなプロジェクトでリーダーになっても、一介の作業員なので、トップの研究者の判断に従わざるを得ず、学位を得ることの必要性を痛感して、ある遺跡の発掘を機に、アメリカの大学院に入って学位を取ることにしたという。それが実に35歳のとき。すごい。そして大学院で研究に没頭する傍ら、「もっと掘れば絶対に遺跡が見つかる」と思って断念せざるを得なかったプロジェクトについて論文を書き、それが学会で大反響を呼んだので、学位を取ってからそこを発掘させてもらえることになって、実際掘ってみたら予想通りいろいろ出てきたので、現在ではテオティワカン中国文明メソポタミア文明に匹敵する規模と水準のメソアメリカ文明であったとされている、とのことである。

上記のリンクでも書いてある「モノに語らせる」という標語だが、

モノから語られることを僕らは聞かなくちゃいけない。自分の理論、自分の考え、自分の解釈をそこに当てはめようとしてはいけない。純粋な気持ちになって、そのモノが語ってくるものを読み取る。

自然言語処理も同じだなぁとしみじみ思う。データ(テキスト)が全てであり、自分のモデルとか理論と解釈を当てはめたらだめで、データを見ているとそれが語りかけてくるというか、こういうふうに分析してほしい、ぼくはこういうデータなんだよ、とアピールしてくるものがある。非常に参考になる。

プロフェッショナルとは……どういう分野でも、このことだったらこの人に聞きたいと思わせるような人、それが知識であれ、理論であれ、技術であれ。そういうピースを持っている人ですね。それがプロだと思います。

プロフェッショナルという番組は最後に登場した人が毎回「プロフェッショナルとは」という質問に答えるのだが、いつも個人的にピンと来ない回答がほとんどで、時たま「お、これは」と思うものがあるのだが、今回のは大いに納得。そういう人になりたいものだなぁ。大学で留年を繰り返すとか、友人のつてで始めたアルバイトで天職に巡り会うとか、いろいろ回り道してから大学院入るとか、そういうところが似ているから共感できるのかもしれないが……

ちなみに2月16日25時(月曜の夜)から再放送があるので、見逃した人はぜひ。最初から最後まで全部おもしろかったので、お薦め。